それでもつづく!

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“それでもつづく!”

「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」が面白い【書評】

 

こんな本を読みました。

 

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1年前くらいに本屋で購入して、積ん読になっていたこの本。

結論から言うと、読んでいて最高に楽しかったです。

 

ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義

ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義

 

 

穴だけ残して食べることは可能なのか?

例えばぼくが1000人の大衆に向かって「ドーナツを穴だけ残して食べることは可能ですか?」と問いたとしましょう。

 

988人の人々が一斉に「ムリ!」と答えるところを、残りの12人の知識人が、「待てよ…この学問上でならいけるかもしれない…」と考え、専門知識で無双する

 

そんな本です。

 

1000という数字はデタラメですし、ズレた例えかもしれませんが、

一般人なら本気で向き合わないであろうトンチの題材に大阪大学の12の分野の教授が真剣に専門知識を駆使して答えを探るというユニークな内容になっています。

 

本の中の「はじめに」というページから引用しますね。

 

「ドーナツを穴だけ残して食べるなんて,そもそも不可能だし、馬鹿げている.

ドーナツは食べてしまったら,あとかたもなくなる.穴だけ残して食べることは不可能であり,そのような問いかけ自体がそもそも不適切である.以上.」

 これは極めて常識的な回答です.でも,本当にそうなのでしょうか? ドーナツの穴だけ残して食べることは,本当に不可能なのでしょうか?

 「ドーナツを穴だけ残して食べることは不可能である.」

 そんな常識を疑ってみようではないか.やり方によってはドーナツを穴だけ残して食べることができるかもしれない.少なくとも,はなから無理とあきらめないで,どうやったら穴だけ残して食べられるのか,ちょっと考えてみようではないか.

 そんなことを考えた大阪大学の教員たちが,「ドーナツの穴」について,結構本気で取り組んでみた.その成果が,みなさんの手に取っているこの本です.

 

つまり、「常識を疑え」っていうのがベースになっています。

…疑うもなにも、、ね?(笑)

 

「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」というテーマ

そもそもの話、このテーマはもともと2ちゃんねるに投稿されたコピペが発端となっています。かなり有名なのかな?知ってる人も多いんじゃないでしょうか。(ぼくは知りませんでした)

 

ドーナッツの穴だけ残して食べる方法
 

 ∟物理派-巨大なドーナツを光速で回転させることにより穴が空間的に閉じ(ry
       -箱に青酸カリの入ったビンと一緒に入れて(ry
 ∟化学派-穴に空気とは違う気体をつめれば?(それ残ってるのその気体じゃん派)
 ∟数学派-非ユークリッド幾何学的には可能(難しいよ派)
 ∟統計派-100万回食べれば1回くらい穴だけ残ってるかもしれない(めんどくさいよ派)
 ∟地学派-半減期を調べれば穴の存在を証明できるかもしれない(本当かよ派)
 ∟芸術派-私が存在しない穴を写実することでなんとかできないだろうか?(別問題だよ派)
 ∟哲学派-穴は形而上的な存在の定義外にあり、超空間的な(ry
 ∟報道派-まずはドーナツに穴が空いているか世論調査すべき(捏造だよ派)
 ∟政府派-真に遺憾であり今後このような事態が起こらぬよう最大限の努力を(ry
 ∟一休派-では穴だけ残しますからまずは穴の存在を証明してください(天才だよ派)

ドーナッツの穴だけ残して食べる方法 : 2chコピペ保存道場

 

こんな感じ。これだけでも面白いですよね。

 

本の成り立ち 

さっき貼った、この本の帯を見て下さい。

 

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ドーナツにコーティングされた砂糖のような可愛らしいデザインになっているんですが、注目して欲しいのは裏のココ。

 

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「大阪大学ショセキカプロジェクト」という試みで企画・提案から編集作業、装丁や広報、販売までまで大阪大学の学生さんが全て行なっているそうなんです。すごい…!

 

内容

第1部「穴だけ残して食べるには」、第2部「ドーナツの穴に学ぶこと」という構成です。

あくまで主観なんですけど、だいたい強引です(笑)

様々なうんちくが「ドーナツ(ないしその言葉)」と絡めて羅列してあります。

絡めてっていうか、かすってる程度のやつも多いんですけどね(笑)

一部の人間から見たらものすごく秀逸な回答かもしれないんですけど、、。

 

それでも、すごいと思うのは「あくまでこちらに理解させようとしていること」何ですよ。これ読んだ人にしかわからないと思うんですけど、ものすごく楽しいですよ。

 

面白かったところを少しだけ紹介しておきますノ

 

ここがおもしろい 

紹介したいのは、第3章。

「とにかくドーナツを食べる方法」っていうやけくそタイトルです。

 

ここが本当に楽しかった。「穴とは何か?」という考察から始まり、空間の話になる。そして集合を用いて数学的に説明して、、、

 

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(ちなみに「集合」は数Aのあれでした。習ったことが書いてあると面白いなあ)

 

穴の定義づけ→お題の具体化→そして…

 

こう。

 

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察しのいい人は大体わかるかもしれませんが、わからない人は是非読んで見てください。めちゃくちゃ屁理屈で笑いました(笑) 

 

本としての完成度

作り込みがものすごく丁寧だと感じました。

本書の「おわりに」というページにも、

 

現代社会は様々な技術の発展によってCMや映画、漫画や雑誌など、その全てが豊富な色彩で多彩に表現されている。そうした事実からすると、「本」というものは白黒のただの文字の羅列だ。そしてPCでカタカタと打つ作業をすれば、200ページ余りを字で埋めることは容易。しかし、この一冊を作り上げる過程で、想像をはるかに超えた時間と労力がかかることを思い知らされた。

 

というようなことが書いてありました。 

 

もし普段本に書いてある時だけを飲み込んでいる方がいれば、これから本を読むときのほんの一瞬でも、その字、その文が載るまでに至った背景にも考えを巡らせていただけたら、本の制作に携わった人間として幸せなことです。

 

僕は多い時に月30冊ほど本を読みます。そんな僕は、まさに「本に書いてあることだけを飲み込んでいる」人間だったんじゃないかと、ハッとしたんですよね。

こういう制作過程のことについて書いてある本って本当に珍しくて、そこに関してもものすごく楽しめました。

 

あなたに読んで欲しい

ここまで読んできて、「うげっ、参考書みたいじゃん」と抵抗を感じた方。

この本は、そう考えがちな方々のために作ったと言っても過言ではありません。

とあるように、そういう人たちこそ読んで欲しいんです。

 

勉強とか学問っていうと、難しいし面倒だし、、、。

ただ、全部好きになれなくてもその中の一部でも興味が湧くものがあるのでは?

 

という考えに基づいて、文理問わず楽しめるような工夫が凝らされているのです。

 

確かに、文系の道に進んだ人は「次元」や「化学」と言った言葉とはしばらく無縁です。中には一生無縁な人もいるかもしれません。そんな人たちがこの本を読んでたったひとつでも興味の持てる学問を見つけてくれれば…!という願いが込められていました。

 

読み終わって

読み終わって、って言うより一通り「見て」って感じですね。

専門的なところまで首を突っ込んでいると、一生かかっても読める気がしません。

 

たとえそれが自分の興味のない分野でも、その分野を愛してやまない人たちは一定数存在していて、きっと今も真剣に学問に取り組んでいる。

 

学問と向き合うのってすごく楽しくて、純粋に没頭できるなあ!

 学ぶ楽しさっていうのが漠然とわかりました。

 

こんなバカみたいな題材に、くそ真面目に取り組んでいる様子が、ひしひしと伝わってきて、感動すら覚えました。かっこいいな。

 

くだらないの中に学問の真髄はあるのかもしれない……。

 

是非読んで見てくださいノ

 

それでは!

  

ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義

ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義