Entranced

心を解き放て

川沿いを走ること、学校に通うこと

「覚悟はできたの?」「できてない」 

覚醒した。朝の9:00過ぎ。学校はもう始まってる。

最近は、始業時刻から登校できることがほとんどなくなってしまった。だいたい毎日、二階の和室で寝ている僕は1時間以上かけて両親に起こされる。

目が覚めた後は、学校に行こうか行くまいか、悩む自分と「卒業、卒業」の両親との精神と肉体の抗争。両親は、手足を掴んで階下へ引き摺り下ろそうとする。そして僕はというと、体のだるさと不安定な精神からくるモヤモヤとで、必死に抵抗する。事実、悩んでる余裕なんてなくて、最短1週間で「留年確定!卒業させねえぞ!」ってなる。両親が正しい。つらい。睡眠障害が露骨になって来たのはうつになってすぐのあたりで、今となっては不幸にも日常に溶け込んでしまった。毎日こんなことをやっているもんだから、僕はもちろん両親も疲弊している。

それから、しばらく休憩してやっと心の準備ができたところで父と二人で家を出た。11時30分くらいの話。

 

 

「喫茶店でランチを食べてから行けばいい」

父の提案だった。最寄りの喫茶店で「日替わりランチ」を注文して食べた。1時前には、喫茶店を出て「行って来ます」と手を振った。

川沿いを走るのは気持ちがいい。川沿いに入る前、ガソリンスタンドの洗車コーナーの横にさしかかったあたりで冷たい水の粒を浴びたり、コインランドリーでふんわりとした洗剤の匂いを嗅いだ。それでもって、ポカポカしてて温かいものだから、穏やかな気持ちになれた。

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学校を休むという行為が針に糸を通すような、もどかしく困難なものと化してきた。それでも、何かにつけて帰ってしまいたくなる。この日も、適当な道を曲がって、他の道にぶつかったら学校へ行くことにして、結局、スマホで時間を確認したら5時間目がちょうど始まるところだった。20分は知らない道を走ったことになる。脱力感に襲われた。

帰り道、交差点を渡ろうとしたら車がさしかかって来てた。歩道の脇に植えられていた木が邪魔して気づかなかった。とっさにブレーキをかけて発進を阻止しようとしたら、サドルが「ブンッ」と左右にずれた。自転車はおかしな方向を向いて静止して、車もまた静止した。

注意不足、整備不足で危うく死ぬところだった。注意不足は完全に僕に非があるが、整備不足に関しては、家を出る直前に父に「サドルが少し緩い気がする」と報告済で「とりあえず学校に行け。帰ってから直せばいい」と言われたばかりだったから、責任を転嫁したい欲が生まれた。だから僕は帰った。理由はなんでもよくて、それがたまたま「死にかけた。文句の一つや二つ言わせてくれ」だっただけで、別に「ハンドルを握る右手の指先にささくれがあった」だとか「歩きタバコにエンカウントして、めっちゃむせた」でもよかった。そんなような気がする。

 

帰ってから、サドルのことは言えないままだ。

相変わらず覚悟ができていない。歯を食いしばって残り数ヶ月学校に通う覚悟が。これだけ窮地に立たされても、未だに「留年してみんなとは一緒に学校を出られない」喪失感を想像できない僕はひたすらにバカである。学校サボってこんなの書いてるだなんて、一周回って清々しい気もするけれど、やっぱりバカで、どうしようもない。